若手対談
毎日違うカタチに出会う面白さ。
渥美尊章 × 渡邉稜太
製造部 曲げ課 曲げ(第一)チーム × 製造部 加工仕込み課 仕込みチーム
「うまくいかなかった分も、技術になる」芝原工業のものづくり
芝原工業では、毎日異なる形の製品が流れてきます。決まりきったライン作業ではなく、一つ一つが「はじめまして」の連続です。
そんな現場でものづくりを楽しむのは、新卒採用チームとしても活躍する渡邉さん(入社4年目)と渥美さん(入社6年目)。会社説明会や学生対応にも携わるお二人に、芝原工業ならではのものづくりの面白さについて伺いました。
——入社のきっかけ
工程は違っても、根っこは同じ
── まず、それぞれの仕事を教えてください。
渡邉: 僕は「仕込み工程」を担当しています。曲げる前の板の状態を整える工程で、バリ取りとか穴あけとか。曲げる前に板を綺麗にするイメージです。
渥美: 自分はその次の「曲げ工程」です。プレスで板を曲げて、形にしていく作業です。渡邉さんが整えてくれた板を受け取って、次の形に変えていく感じですね。
── 普段、工場内での接点は?
渡邉: 正直、作業中はほとんど話さないですね(笑)。製品を渡すときぐらいで。
渥美: そうですね。新卒採用チームで動いているときが、一番ちゃんと話す機会かもしれないです。
── ものづくりが好きになったきっかけは何ですか?
渡邉: ベタですけど、小さいころからプラモデルとかレゴとか、作るのが好きで。それが自然に「作る仕事がしたい」につながって、工学部に進みました。就職先を探すときも、最初からものづくり系しか見てなかったです。
渥美: 自分も子どものころから車とかバイクとかプラモデルが好きで。ただ実際にバイクに乗り出したのは大学に入ってからです。大阪に行ったんですけど、公共交通機関の「何時の電車に乗らないと間に合わない」っていうのが嫌で。親の反対を押し切って買いました(笑)。乗っているうちに、自分でパーツ作ってみたいなって思うようになって。駆動とかじゃなくて、外側につけるプレートとかそういうもの。自分のバイクにオリジナルパーツをつけたいという思いからものづくりへの興味が強くなっていきました。
── 芝原工業を選んだ理由を教えてください。
渡邉: 実家が浜松で、距離的に通いやすかったのが一つ。あとは工場見学で、でかい機械がいっぱい動いてるのを見て「面白そう!」って思いました。金属の板がどんどん形になっていく様子を見ているだけでテンションが上がったんです。
渥美: 自分は「一つ一つ手作りで、自由度が高い」っていう環境に惹かれました。決まった型にはめるだけじゃない。それに、地元が近くて、趣味の時間も確保できそうだなって。仕事と好きなことを両立したかったんです。
——働いてみてのリアル
新鮮さと、没頭
── 芝原工業ならではの面白さはどこにありますか?
渡邉:多品種なんで、毎日違うものが流れてくるんですよ。いわゆる「決まりきったライン作業」じゃなくて、形も大きさもバラバラ。同じ製品が来ることもあるけど、ちょっとずつ仕様が変わってたりする。やってることは同じでも、対象が違う。その新鮮さがずっとあるんですよ。同じやり方を繰り返すというより、「今日はどうやろうかな」と考える場面が毎日あるんです。
渥美:芝原工業の強みとして、作れるものが多いということはあると思います。機械も面白くて、最新のものと古いものが混在しているんです。古い機械だと、工場内で専用の金型を作って、無理やり曲げるような職人技もあります。
一方で新しい機械は、基本操作さえ覚えれば力に自信がない方でも作業でき、女性の力でも扱いやすいと思います。古い機械だからできる曲げ方もあるし、逆に新しい機械だからやりやすい加工もある。その組み合わせで、いろんな製品を作れている感じですね。このやり方は、芝原工業ならではの面白さかもしれません。
── 一番集中する瞬間は?
渡邉: 初めての製品が来たときかな…「どうやって加工するか」「どの順番でやるか」って手順を頭の中で考えているときとか。それを実行してる時間はあっという間ですね。気づいたら終わっちゃったという感じです。
渥美: 自分はちょっと違って、リピートの製品でこっそり楽しんでることがあって。一人で勝手にタイムアタックをしています(笑)。機械に作業時間が表示されるので、前回やったときより何分早くなったかを密かに測ってる。何が違ったのかなって考えながら。
渡邉: そんなことしてたんですか(笑)
渥美: 一番テンション上がるのはそこかもしれないですね。「あれ、今回ちょっと早くなってる」っていう瞬間かな。自分なりに工夫したことが結果に出ると、結構うれしいんです。

── 思わず「これはヤバいな…」と心が折れそうになる作業もありますか?
渥美: ありますね。「ヘミング」という、一度曲げたところをペタって完全に潰す工程があるんですけど、これが何個もあるやつ。金型を一回ずつ変えないといけないので、パーツが5、6個あって全部ヘミングと普通の曲げが混ざってると、半日もかかるんです。でもやり始めると、結構あっという間で。それだけに集中するので、意外とストレスにはならないんですけどね。
渡邉: 僕は数が多いものが大変ですね。うちは基本的に多品種少量なので、一品種を5個以内とかが得意なのですが、製品によっては何百個、何千個となることもあるんです。そういうのは「ヤバいな」って思いますね。
——失敗論
うまく行かなかった経験が、技術になる

── 毎回違う製品が続くことに、プレッシャーを感じることはないんでしょうか?
渡邉: 正直、最初は不安の方が大きかったですね。やり直しになると材料費もかかるし、前の工程の人たちにも迷惑かかるって考えちゃうと、ビビりますよね。今でもやったことない製品が来ると、「これどうなるかな…」って不安になりますよ。予想通りにいくか分からない怖さは、やっぱりどうしてもありますね。
渥美: 自分は逆で、あまり不安は感じないタイプでしたね。できないのは最初だから当たり前、と割り切っていた部分があります。
── 渡邉さんは、その不安はいまも続いてるんですか?
渡邉: 完全になくなったわけじゃないですけど、考え方は変わりましたね。失敗した方が、記憶に残るんですよ。うまくいった時より、「なんで失敗したんだろう」と考えた時の方が次につながる気がします。やらかしたことって、次に絶対思い出すんで。「前回これミスったな」っていう意識があるから。まあ、失敗するのは嫌ですけどね(笑)。
── 渥美さんはどうですか。もともとそういうマインドだったのでしょうか?
渥美: 最初は違いましたよ。失敗するのは怖かったし不安もあった気がします。今考えると周りの環境が大きかったのかもしれません。失敗してもカバーしてくれる人がいると分かっているので、思い切って飛び込めるんです。当然今でも失敗はしますよ。でも怒られるんじゃなくて、一緒に考えてくれる。だから思い切ってやれる部分はありますね。
そうやって、徐々に失敗に対する考え方が変わっていったのかもしれません。いろんな場面でカバーしてもらっています。例えば曲げをやってると、仕込みの段階で気づけなかった傷が見つかることがあるんです。そういうときに「これどうする?」って一緒に考える。自分が失敗したときも同じで、「なんでこうなったんだ」じゃなくて「次はこうしよう」ってところまで一緒に考えてくれるんです。
工程がつながってるので、どこかで詰まると全部止まっちゃうんです。だからこそ誰かが失敗しても、そこだけの問題にしないというか…できないんです。カバーし合わないと、完成まで持っていけません。
——お互いへのリスペクト
見えていなくても、つながる工程
── 普段あまり話さないと伺いましたが、お互いをどう見ていますか?
渡邉: 渥美さん、めちゃくちゃ遠いところに住んでるんですよ!遠方から毎日通ってきてて、それでしっかり最後までやりきって帰る。自分だったら早めに切り上げるのに、偉いなと思って見ています。
渥美: 朝、高速乗って通勤してるんですよ(笑)。
渡邉:ちゃんとやるべきことに責任を持って、自分が納得できるところまでやってから帰る姿勢を本当に尊敬しています。
渥美: 渡邉さんは、工場内でいろんな作業を掛け持ちしてるときがあって。このメーカー担当してたと思ったら、今度は別の作業の手伝いしてるって。いろんなことやってる人だなって印象ですね。自分で良く考えて、動いている証拠だと思います。その分信用もされますし。採用の場では、学生の話をどんどん深掘りしてくれて、気づいたらその子の性格や志向まで引き出してる。採用チームとしてはすごく助かってます。
── 自分たちが作っているものが、最終的にどんな製品になるかは分かるのでしょうか?
渡邉: パーツの段階なんで、プラモデルで言うならまだくっついていない状態。図面を見れば画は見えますが、実際の完成品は分からないことも多いです。
渥美: 自分たちにとっての完成形は、図面通りにできたかどうか。図面通りであれば、それが完成という感じです。
渡邉: 物足りなさは無いですね。というか……完成形に興味がない、って言ったら変に聞こえるかもしれないけど。
── 完成形に興味がない?
渡邉: 興味がないわけじゃないんですけど。自分の仕事って、ここまでってわりと決まってるので。完成品そのものより、「自分の工程をどれだけ精度高く仕上げられるか」の方が気になるんですよね。穴を開けて、バリを取って——そこまでやれば、自分の中では完成なんです。一番最後の姿はあんまり気にならないですね。
渥美: 次の工程でちゃんとくっつくかな、とは思いますけどね。
渡邉: 自分の工程を作り上げて、次の工程へつなぐ。少しでも正確にやり遂げることが達成感にもつながります。
── 社訓「信用を重」は、現場でどう感じていますか?
渥美:取引先と直接お話しする機会はほとんどありませんが、傷なく図面通りに製品を納品することや、納期を守ること。そういう一つ一つの積み重ねが、信用につながっていくんだろうなと感じています。
以前、「芝原工業の製品が良かった」とお客さんの声を共有してもらったことがあって、そのときは「自分たちの仕事ってちゃんと届いているんだな」と実感できて嬉しかったです。まだまだ学ぶことも多いですが、そういう声を増やしていけるように頑張りたいと思っています。
渡邉:直接お客さんの顔が見える仕事ではありませんが、納期を守ることが最終的な信頼につながっているんだろうなと、働きながら感じています。ただ、一人だけが頑張っても芝原工業としての信用にはならなくて、各工程の人が自分の役割をやり切って、次の工程へつないでいくことが大事なんだと思います。自分自身、まだ周りに助けてもらうことも多いですが、その流れをしっかりつなげられる存在になっていきたいです。
——ビジョン
それぞれの「なりたい」

── 今後、どんな技術者になっていきたいですか?
渡邉: 一工程だけの人じゃなくて、他の工程にも手伝いに行けるようになりたくて。純粋に興味ということもあるんですけどね(笑)。いろんな技術を持った人になりたいです。知らない工程を見ると「どうやってるんだろう」と気になっちゃうんですよね。たくさん経験を積み重ねて、できることを広げていきたいですね。
渥美: 自分は今の工程を極めたいです。同じ「曲げ」でも、人によって力の入れ方や機械の使い方が違うんですよ。長い人だと20年同じ工程にいる方もいるので、そういう先輩たちの感覚的な技術を少しでも吸収したいですね。
そのうえで、感覚でやっていることを自分なりに言語化して、後輩に分かりやすく伝えられるようになりたいです。ベテランの先輩方には『背中を見て覚える』ような文化もあるので、それをもう少し噛み砕いて伝える役割ができたらと思っています。
── どんな人と一緒に働きたいですか?
渡邉: ちゃんと言葉で伝えてくれる人です。分からないことは分からないと言える。不満も、楽しいことも、ちゃんと話してくれる人。一緒に楽しいことも辛いことも共有できると、仕事は続けやすいし楽しくなりますよね。
渥美: ものづくりへの興味がある人。あとは挑戦できる人。興味がないと頭に入ってこないし、上達もしない。そこはやっぱり大事かなと思います。
── 最後に、この記事を読んでいる方へ。
渡邉: 溶接とか曲げって、パッと見は難しそうに見えると思うんですよ。でも意外とできちゃう。未経験でも、文系でも、女性でも男性でも。まずは一回体験しに来てほしいです。やってみたら、「意外とできるじゃん」と、面白さに気づくと思います。
渥美: 言葉で面白さを説明するのって、正直難しくて。実際に鉄板持って、バリ取りして、曲げてみないと分からない部分が絶対あるんです。来てもらって、見てもらって、感じてみてほしい。合うかもしれないし、違うと感じるかもしれない。でも来てみてからじゃないと、どっちかも分からないじゃないですか。
渡邉:ここで一緒に、ものづくりを楽しめる人に出会いたいですね。