工場見学ツアー
【工場見学ツアー】知っていると見え方が変わる、芝原工業のものづくり。

芝原工業では、板の切断から、溶接・塗装・組立までを一貫して行い、多品種少量の製品づくりを得意としています。大きな機械で金属板を曲げたり、溶接で部品をつないだり。一枚の板がいくつもの工程を通って製品になっていきます。
ですが、まず見てほしいのは、目を引く大きな機械や製作している製品ではありません。図面を読み、寸法を確認し、次工程を想像しながら判断する「人」の仕事です。工場で働く人の手元や会話、作業中の動き。その一つひとつから、「目の前の製品をどうつくるか」「次の人にどう渡すか」を考えながら働く様子が見えてきます。
今回の記事では、数ある工程の中から、仕事における判断や成長が見えやすい「仕込み」「曲げ」「溶接」の3工程を、採用担当の安藤さんに聞きながらたどっていきます。
▼工程一覧
切断 → 仕込み → 曲げ → 溶接 → 仕上げ → 塗装 → 組立 → 検査 → 出荷
▼詳細
金属板が製品になるまでの工程を詳しく見る(リンクはこちら)
仕込み|最初に覚えるのは、削り加減

― 「仕込み」では、どんな作業をするのでしょうか?
仕込みは、ものづくりの基本を学ぶ工程の一つです。バリ取りやタップ加工など、製品に直接触れながらものづくりの基本を学びます。
バリとは切断した部分などに残る、とげ状の出っ張りです。それを、ハンドグラインダーなどの工具で削っていく作業を「バリ取り」と言います。
最初は、バリを取り切れなかったり、逆に削り過ぎてしまったりすることもあります。先輩社員から教わりながら、「どこまで削ればよいのか」「どのように持てば傷が付かないのか」を少しずつ覚えていきます。
― 出っ張りを削るだけなら簡単そうに聞こえますが、経験を積むとどんな面白さが見えてくるのでしょうか?
経験を積むと、ただバリを取るだけではなく、「この部品はあとで曲げる」「この部分は溶接する」ということが分かるようになります。すると、「ここに傷があると次の工程の人が困る」「このバリが残ると危ない」といった判断ができるようになります。
自分の作業だけではなく、次の人の仕事まで考えながら作業できるようになることが、仕込み工程での大きな成長であり面白さでもあります。
ベテランになると、製品形状や材質を見ただけで加工時の注意点が分かるようになります。さらに、新人への指導や作業改善にも関わり、「どうすれば次工程がもっと作業しやすくなるか」を考えながら工程全体を支える存在になります。
曲げ|機械の癖も見極める

―「仕込み」の次は「曲げ」なんですね。「曲げ」ではどんな作業をするのでしょうか?
曲げ工程では、図面を確認しながら機械を使って平らな板を立体形状へと加工していきます。機械がスムーズに板を曲げているように見えますが、人の判断や職人としての技術も重要な工程です。
入社後はまず、図面の見方や金型の種類、加工順序などを学びながら、一つひとつの作業を覚えていきます。機械は決められた動きを正確に行います。ただ、入ってくる材料はいつも同じ条件ではありません。形や大きさだけでなく同じ種類の材料でも、製造ロットによって硬さなどにわずかな違いが生じることがあります。
そのため、図面や材料を確認して機械を設定します。それでも、材料の性質や機械の癖によって、同じ設定で同じように曲がるとは限りません。経験を積むと、「いつもと材料の硬さが違う」 「角度が少し出にくい」という変化に気付けるようになります。
図面どおりに機械を動かすだけではなく、自分で測定し、判断し、調整できるようになることが曲げ加工の面白さです。
ベテランになると、機械ごとの特徴や材料の癖まで理解できるようになります。また、「この曲げ方なら溶接がしやすい」 「この順番の方が製品精度が安定する」といった工程全体を見据えた判断ができるようになります。
機械を操作する人から、ものづくり全体の流れを考える人へ成長していきます。
溶接|各工程の技が、ここでつながる

― 続いては「溶接」の工程ですね。どんな作業をするのでしょうか?
溶接工程では、仕込みや曲げを経た部品を組み合わせ、製品として形にしていきます。芝原工業のものづくりにおいて中核となる工程です。
まず図面を確認し、必要な部品が揃っているか、曲げ角度や組立時の寸法、部材間の隙間に問題がないかを確認します。熱で金属が溶けた部分を「溶融池」と言います。その広がり方や部材の隙間を見ながら、熱の加え方を調整するのが難しいところです。毎回同じようにやっても、同じように溶けるとは限らないため、最初は「なぜうまくいかなかったのか」さえ分からないこともあります。先輩に教わり、成功も失敗も重ねながら、溶接の基本を身につけていきます。
経験を積むと、「熱が強すぎた」 「隙間が大きかった」 「姿勢が良くなかった」など、自分で原因を考えられるようになります。毎回同じ条件ではないため、結果を見て原因を考え、次に生かす力が身についていきます。
ベテランになると、自分の工程だけでなく前工程まで見えるようになります。「この部品は曲げの精度を上げた方がいい」 「この加工方法ならもっと効率が上がる」といった改善提案もできるようになります。
現場の提案をきっかけに、加工方法や加工プログラムが見直されることもあります。一人ひとりの気付きが、工程全体の改善につながっています。
同じ設定で作業しても、材料や隙間の状態によって結果は変わります。だからこそ、経験を積むほど判断力が磨かれ、自分の技術が形として表れる面白さがありますね。
続きは、工場で。

― これから工場見学に来る方に、どんなところを見てほしいですか?
何をつくっているかだけでなく、それをつくる人がどう考えて、手を動かしているのかを見てもらいたいですね。機械が動く前後に何を確認しているのか、周りの人とどんなやり取りをしているのか。気になったら、「今、何をしているんですか?」と聞いてもらえたら、そこから話せることもたくさんあります。
一度見学することで、ものづくりは一人で完結する仕事ではなく、工場全体で製品を完成させる仕事だということが感じられると思います。
最初は自分の作業を覚えることで精一杯でも、経験を積むと「このまま渡したら、次の人が困らないかな」「ここは溶接が難しそうだな」と、少し先まで考えられるようになります。切断から塗装・組立まで社内で行っているので、前工程の工夫や、次工程での作業のしやすさが、自分の仕事とどうつながっているのかも見えてきます。そうやって徐々に、周りの人の仕事まで考えながら動けるようになっていく。できることだけでなく、見えるものも増えていくんですね。
一枚の板から製品が完成するまでには、多くの人の判断と工夫があります。工場見学ではぜひ機械だけでなく、そこで働く人たちの仕事にも目を向けてみてください。芝原工業のものづくりに、どのような面白さがあるのかを感じてもらえると思います。実際の仕事や働く人を見ながら、自分ならどこを面白いと思うか、確かめてもらえたらうれしいですね。